勉強や仕事で必要だったから、もしくは面白そうだったから、ちょっと背伸びした本を読み始めてみたけど
- なんだか難しくて挫折した
- 最後まで読んだつもりだけど、何が書いてあったかと聞かれても答えられない
(=内容理解できてない)
こんなことはありませんか?
私のことなんですけど。
この記事では、自分にとってちょっと難しい本に取り組むときのコツをお伝えします。
ちょっと難しい本読むと挫折する
読んだけどよくわからなかった
難しい本読んでるとねむくなる
具体例として、この記事では『十二世紀のルネサンス:ヨーロッパの目覚め』を使用しています。
本文を読む前
表紙・裏表紙・帯を見る
慌てて本を開かずに、まずは表面を見てみましょう。
意外とたくさんの情報があり、「どんな本なのか」がわかるようになっています。いやー、出版社のお仕事は偉大ですね。
たとえば、『十二世紀ルネサンス ヨーロッパの目覚め』の帯にはこんなことが書かれています。
(背表紙)西洋の中世は暗黒期ではない。
(表)1920年代に世界史の常識を覆した問題作
イタリア・ルネサンス以前、「新しいヨーロッパ」はすでに創られていたチャールズ・H・ハスキンズ『十二世紀のルネサンス:ヨーロッパの目覚め』別宮貞徳・朝倉文市訳、講談社学術文庫、2017年、帯
この本の場合、裏表紙にも概要が掲載されています。講談社学術文庫はすべてこんな感じの概要が書いてあるので助かります。
イタリア・ルネサンス以前、十二世紀の西欧ではすでに知的復興が行われ、活き活きと文化が華開いていた。(中略)「封建的で陰惨な断絶された時代」という中世の理解は正しいのか――精緻な写本研究と文献学の成果で西洋史に新たな枠組みを提示し、今も指標とされる不朽の名著
チャールズ・H・ハスキンズ『十二世紀のルネサンス:ヨーロッパの目覚め』別宮貞徳・朝倉文市訳、講談社学術文庫、2017年、裏表紙
本文はまったく見ていませんが、もうすでに、なんとなく
- 帯の「西洋の中世は暗黒期ではない」がメインテーマ。
- 「1920年代」と書いてあるので、最新研究ではなく、古典的名著
以上のような内容の本だとがわかりました。
「最新研究ではない」=「この後覆った説もあるかもしれないし気をつけよう」、とまで考えられたら最高です。
作者や翻訳者を見る
本の最後のほうを見ると、作者の肩書や経歴がわかります。
『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』の場合、作者はアメリカの歴史家であるようです。
歴史関係の専門書の場合、ジャーナリストや作家が著者であることも多いですね。肩書によって書き方がかなり変わるので、事前に見ておくことをオススメします。
もし、歴史学専門の研究者による著作が難しすぎると感じたら、ジャーナリストや作家が手掛けた本を手に取ってみる方法もありますね。
そして、翻訳者も確認しておきましょう。
作者のことは知らないけど、訳者が日本で有名な研究者でよく知ってる、なんてこともあります。
『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』の場合、訳者は二名おります。
- 別宮貞徳:英文学、比較文学
- 朝倉文市:西洋中世史
大層あっさりした記述で、予備知識がないと若干不安になるくらいですが……私の場合、朝倉文市さんについては他の著作でよく知っていたので、中世の研究で有名な人だ、とわかりました。他の著作でぱっと思いつくのは、山川出版社の世界史リブレット『修道院にみるヨーロッパの心』などでしょうか。修道院文化がさくっとわかってとても好きな本です。
別宮貞徳さんについても、あとがきを見ると翻訳家としてのお仕事が多い一方、本来は比較文学の研究者であり、中世の世俗ラテン詩の研究もしているとのこと。
つまりこの本は、文学のプロと歴史のプロがタッグを組んで翻訳したもののようです。気合いが入ってます。
ちなみに、あとがきについては後にも取り上げます。
目次を見る
ざっくり何が書いてある本なのかわかります。文章ではなく単語なので、さっとわかるのも魅力的。
ここから興味のあるところだけ読んでも、もちろんOKです。たとえば、長い歴史を扱った本で中世のことを調べたいのなら、中世のページに飛べば良いのです。
『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』の場合、私は「第八章 歴史の著述」に興味津々だったので先に読みました。12世紀の歴史叙述がどんな感じだったかがわかる章です。
第八章ってめちゃくちゃ途中ですよね。なんなら、全部で十二章構成なので最後のほうですよね。
でも、帯や表紙・目次・著者の情報などを頭に入れていると、途中からでも話がわかります。
ただ、もしあなたが新しいジャンルに手を広げようとしているとか、手に取った本が難しいと感じているようであれば、本文に進む前にもう少し準備することをオススメします。
「はじめに」「おわりに」を見る
「はじめに」はともかく「おわりに」を先に見るの? と戸惑われた方。
見ましょう。
小説じゃないので、「最後から読んで犯人がわかってしまう」なんてことは、まったくありません。むしろ、本は好きなところから読んでいいし、好きなところだけ読んで良いのです。
ただ、「ちょっと難しい」と感じる場合は、本当に先に読んだ方がいいです。
大抵の歴史関係の書籍は、最初と最後に、この本で何を言いたいのかが述べられているからです。最初に目を通しておくことで、この本のスタート地点とゴール地点がわかり、理解も早くなります。
くらいでもオッケーです。重要な部分がどこなのかわかるようであればなおよし。
歴史の専門書にありがちなのが、本文中の具体例が死ぬほど長くて、結局なんのためにこの話されてるのかわからなくなる、だと思います。
こういったことも、「はじめに」や「おわりに」に戻って来ると整理できることが多いと覚えておくと、後々便利です。
「はじめに」と「おわりに」がない場合は、諦めて読み進めましょう。
また、「はじめに」と「おわりに」が終始意味不明だった場合は、自分には早い本である可能性が高いです。がんばってもいいですが、おそらくかなりしんどいので、そっと本棚に戻すことをオススメします。
歴史であれば、先に山川出版社の「世界史リブレット」から取り組むと良いと思います。入門者向けに丁寧に書かれているものが多く、100頁くらいでコンパクトなので、挫折もしにくいです。
これも全然わかんない場合は、世界史の教科書やその解説本がオススメです。詳しくは後述します。
ちなみに、例に挙げている「十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め」の場合、「はしがき」はありますが「おわりに」にあたる部分はありません。こういうこともよくあります。「はしがき」だけで十分メインテーマがわかるので問題ありません。
また、本書が難しい場合の入門書ですが、世界史の教科書が良いと思います。とはいえ、高校の世界史だと、12世紀ルネサンスについてはあまりがっつりとは触れられていません。概要をつかむのにはとても良いのですが。
厳密には教科書ではないですが、『もういちど読む:山川世界史PLUS ヨーロッパ・アメリカ編』が、入門書として良いと思います。
もうちょっと詳しいほうが良ければ、大学生向けの教科書がオススメ。
こちらは、古代中世の西洋史全体のことがわかります。コンパクトながら、12世紀ルネサンスについても独立した項目があります。『十二世紀のルネサンス:ヨーロッパの目覚め』についても触れられています。
あれば「解説」や「翻訳者あとがき」を見る
本によっては、その道の研究者や訳者による「解説」や「翻訳者あとがき」などによって
- この本は何を目的に書かれたのか
- 作者はどういう人なのか
- 本文に書いていないような歴史の基本知識
を解説してくれていることが多くあります。だいたい最後にありますが、本文の前に読むべきです。
特に、海外の専門家が執筆した書籍の場合、当たり前ですが、その国の常識は読者が知っているものとして話が進みます。たとえば、キリスト教とか、ヨーロッパの歴史的知識などですね。
それが足かせになり、世界的には大ベストセラーになった本が日本にやってきたらそんなに話題にならなかった……みたいな話はよくあるようです。
でも、訳者あとがきでは、日本の読者に向けて、知識のギャップを埋めるような解説がされていることが多いので、ぜひ本文に行く前に目を通してみてください。
『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』の場合は最後に
- 解説
- 原本あとがき
- 文庫版あとがき
が載っています。
もともと、みすず書房から出たハードカバーが文庫本になったからですね。こういった経緯もあとがきに書いてあります。
文庫版あとがきには、最新研究と本書の関係が述べられていることもあるので、元が古い本である場合は特に、先に読んでおいた方がスムーズでしょう。
『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』の場合、文庫版あとがきには
- 内容としては新たに追加するものはない
- 本書はラテン文化の復興を通して十二世紀ルネサンスを考察している
- 講談社学術文庫には『十二世紀ルネサンス』(「の」があるかないかです)もあり、こちらはイスラム文明とヨーロッパ文明との関わりが主眼
と書かれていました。
ふと思い至って目次に戻ってみると確かに、ラテン語古典の復活、ラテン語……といった章が並んでいました。
十二世紀ルネサンスについて深く知りたければ、合わせて『十二世紀ルネサンス』もチェックしておいたほうがよさそうです。
表紙や帯、「はじめに」「おわりに」「解説」「訳者あとがき」などを先に読むと、どういう本かわかるので本文の理解も早くなる。
本文を読む
こんな声が聞こえてきそうですね。ここまで目を通しておいたほうが、本文もすんなり理解できて、むしろ早道です。急がば回れです!
読みたいところだけ読めばいい
読む方法というより心構え的なお話になってしまいますが、これは本当に大事です。
分厚い専門書を、最初から最後まで通しで読まなければならない、と考える人は多いと思います。
私がわりとそう思ってしまいがちです。
学生時代、時間がなさすぎて必要なところだけ読んでレジュメを作成し、全部読んでないことにとてつもない罪悪感を覚えていたところ、先輩から「必要なところだけ読めばいいんだよ」と教えて頂いて、「そうだったのか!」と目からウロコだったにもかかわらず。
必要なところだけ読んでいいと教えてもらった私ですら、やっぱり全部読みたくなるので、そんな経験をしていない方にとっては青天の霹靂かもしれません。
目次を見て興味が湧いたところだけ読むのだって自由です。
難しいと感じる本の場合、スタート地点とゴール地点がわかっていないと、途中だけ読んで盛大な勘違いをしてしまうことにもなりかねないので、「はじめに」「おわりに」は読むべきだと思います。
その後の本文は自由に読んでオッケーです。
もちろん、楽しければ最初から最後まで読んでいいです。大丈夫です。
わからないところがあっても気にしない
「読みたいところだけ読んでいい」とかぶる話にはなりますが、今の自分にわからないところが多少あっても、気にしないようにしましょう。
本を書いている研究者は、その道のプロです。いくら懇切丁寧に説明してくれているからといって、素人が一読してすべてを理解できるわけがありません。むしろ、素人があっという間に理解しちゃったら、研究者だって困ると思います。
著者の意図はある程度理解していないと、とんでもない勘違いをすることになってしまうので、繰り返しになりますが、「はじめに」と「おわりに」は読んで大筋は把握しておきましょう。それだけできたら、あとはわかるところだけ拾っていけばOKです。
わからないところを飛ばしていたら全部飛ばしていた……なんてことになっても悲観しなくて大丈夫です。まだ自分には早かっただけの話。そっと本棚に戻しましょう。
ほどほどにメモをとる
自分のレベルに合った本であればまだしも、難しいと感じる本は、最初から最後まで黙読するだけではなかなか記憶に定着しないと思います。
ほどほどにメモをとりましょう。
ほどほどに、とは?
ほどほどにが大事です。
メモの時間が長くなりすぎると
- 読書時間がどんどん伸びる
- 長いこと読んだのにちっとも進まなかった罪悪感に襲われる
- 「読書しんどい」
以上のような状況に陥る可能性が高いからです。
もちろん、本を読んでいる間の時間も幸せなひとときなので、時間がかかる=悪だとはまったく思いませんが、
本読むのがしんどくて挫折してしまう人の場合は、長時間かかることにどうしても罪悪感を覚えてしまう傾向にあるような気がするので、ある程度テンポよく読むことをオススメします。
なので、メモするのは、大事だなと思ったところだけに絞りましょう。
「十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め」の第八章「歴史の著述」の項目で、私がとったメモ例はこちら。
- 第八章 歴史の著述
- 歴史叙述の時代
- 新しい形式
- 自国語による歴史の定着
メモについては自分がわかればいい精神なので、人様にお見せできるようなものではないですが……。しかも、章タイトルの「歴史の著述」を書いているなら「歴史叙述の時代」は不要だった気がしなくもないですね。適当です。適当でいいんです。
従来、中世は暗黒期で文化も停滞した息苦しい時代だったと考えられていたけど、ほんとは違うんだよ、というのがこの本の趣旨であることは、帯やら「はしがき」やらで把握できている状態です。
歴史叙述においても同じで、停滞するどころか、ラテン語だけではなく自国語(フランスやドイツなど)での叙述が定着したのは12世紀でした。
そして、ラテン語以外の言語で書かれていた事実は、聖職者だけでなく、俗人(宮廷や都市)にとっても歴史叙述が重要性を増したことを意味します
これでどうして「中世は文化的に停滞していたと言えるのか? むしろ発展しているではないか」これが著者の主張です。
後でメモを見れば、上述のようなことが思い出せる。それくらいのメモが理想でしょう。
ページ数や章タイトルなどもメモ
ページ数や章のタイトルなども合わせてメモしておくと、後で見返すときに便利です。
メモしたそのときは「このメモでわかる」と思っていても、後で見返したら意味不明なんてことは十分あり得ますので。私はよくあります。
でもメモだけですべてわかるようにしておこうとすると、メモする時間ばかり長くなって大変です。なので私は、後で本を参照できるようにページ数などもメモしています。
上述のメモの場合、「第八章」とわざわざ書いているのは、そういうわけでした。
何にメモする?
スマホやパソコンのテキストエディタを使ってもいいですし、買ってきた本であれば、書き込みをしたり付箋を貼ったりしてもいいでしょう。
私はページを入れ替えられるリングノートにボールペンでメモします。
ページ入れ替え可能なノートにしているのは、メモの順番を後で入れ替えられるようにしたいからです。
途中まで読んでメモしたけど、同時進行で別の本を読むことがよくあります。普通のノートだとメモの順番もめちゃくちゃになるんですよね……。
リングノートなのは、折り返して使えるからです。
寝転がって読むこともあれば、ちょっと狭いところで読むこともあるので、省スペースは偉大!
どのページに書いても書き心地が変わらないのも魅力。
メモの分量は、どんなに分厚い本でもノート数ぺージにおさめます。一枚が理想だと個人的には思います。後から「どんな本だっけ」と見返そうにも、メモ多すぎると見る気も失せるので……。
筆記用具については
- シャーペン・鉛筆は、自分でこすってかすれるのが好きじゃない
- 布団に寝転がってメモすることもあるのでどうせ消しゴムは使わない
以上の理由で、ボールペンです。最近はゼブラのエマ―ジョンボールペンお気に入りです。フォルムかわいい。ペン自体が軽くて、ずっと書いていても疲れないのもよき。
メモばっかりしてなかなか進まないとき
メモがめちゃくちゃ長くなってしまう場合のお話です。
メモしておきたいくらい興味深いことがたくさんある……ならいいのですが、そうでないのなら、どこが大事かわかっていない=文章の意味がわかってない可能性が高いです。結構しんどい状態だと思います。
帯や「はじめに」などで書かれていたメインテーマを見直してみたり、この本から何を知りたいかを考えなおしてざっと探してみたりしましょう。
それでもぴんとこない場合は……
どうしても読まなければならない状況であれば止めませんが、自分にはまだ早かったのだと棚に戻しても良いでしょう。私なら戻します。
本はいつどこから読んでもいいし、いつやめたっていいのです。
読みたいところだけ読んでいいしわからないところは飛ばしていいし、無理そうだったらやめていい。大事なところだけでもメモしておくとなおよし。
本文を読んだ後
お疲れ様でした!
いやちょっと待って!
なんかの形でアウトプットする
読んだ後そのままにしておくと、すぐに忘れます。人間とはそういうものです。ほとんどの人はそうです。
そして、インプットするだけでなくアウトプットをしっかりすることで記憶が定着する。これも真理です。
読書にもあてはまることです。何かしら自分に合った形でアウトプットしておきましょう。
- メモをまとめる
- 読書管理アプリを使う
- 人に話す
- SNSやブログで発信する
なんでもやりやすいものでいいと思います。
読んでいる最中に書いたメモを見直して、キレイに書き直したり、まとめ直すのは良い方法だと思います。面倒だったら、ちょっと見返すだけでも記憶の定着具合が全然違います。
私が教わっていた大学の先生は、一冊あたり一枚のカードに本の内容をまとめる、という方法を勧めてくれました。一枚なら、後々見返すのにも負担が大きくないし、整理も楽ですよね。
読書管理アプリだと、ブクログがメジャーでしょうか。本棚に本が増えていく感じ。楽しいです。
メモをまとめたりアプリを使うのは面倒で、人に話すほうが気楽な場合は、家族や友人をつかまえて聞いてもらいましょう。誰かに説明しようとすると、ちゃんと内容を理解してまとめようと頭が働いてくれるので、記憶も定着しやすいです。
意外とわかってなかったことが判明しても、なんの問題もありません。わかってなかったことがわかっただけで進歩しています。もう一回読み返してもいいし、また今度にしてもいいでしょう。
SNSやブログで発信するのは、「人に話す」と「メモをまとめる」の合体のような感じかもしれません。ただこの場合、著作権に気をつけましょう。自分用メモなら引用オンリーでまったく問題ないですが、ブログでやるとアウトです。
本の表紙を写真で撮ってSNSにアップするのも、引用の一部とみなされる場合があるとする見解と、著作権侵害にあたるとする見解とで、意見が分かれているので、個人的には避けた方が無難だと思います。
何を学んだか、読んだ後自分はどうなったか、などを考えるのは大変ですが、良いアウトプットになることは間違いないので、がんばれそうならチャレンジしてみましょう!
参考文献を見てみる
小説やエッセイ、写真集であればともかく、歴史の専門書の場合、ほぼ100パーセント参考文献一覧が掲載されています。
歴史の専門書で参考文献がまったく載っていないのは、何を根拠に論じられているか不明で信憑性に欠けるため、私は躊躇してしまいます。楽しむためだけならもちろんOKですよ!
翻訳書籍の場合、原文には参考文献一覧があったけど、ページ数の都合で泣く泣く削除した可能性もなくはありません。
もともとあったのに削除されたのか、そもそもないのかは確認しておくことをオススメします。いや、参考文献一覧を削除するってあんまりない気がしますが……。
入手困難な文献が並んでいることもあります。そういうときは仕方ないです。中には、日本の読者向けに入手しやすい文献一覧を載せてくれる神のような著者も存在しますよ。
本を読んでみて、もっと知識を広げたいと思ったら、是非参考文献も覗いてみてください。
『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』の場合は、原本が古いので、訳者が用意してくれた参考文献一覧は1970年代の本ばかりでちょっと入手が難しいですね……。図書館でなら借りられるものがありそうです。ルゴフの『中世の知識人』は読んでみたい。
ただ、前述のとおり、文庫版あとがきに講談社学術文庫で『十二世紀ルネサンス』という、ちょっと違った視点の本があると判明しています。講談社学術文庫は本屋さんにもたくさん並んでいることが多く、手に取りやすいので、広げるのであればここかなと思います。
まとめ 読書は自由なもの
自分にとっては難しい本を読む方法についてお話してきました。
幼少期から本が好きな私でも、難しい本を読むのは体力が必要です。読んでいる最中に挫折した本は数えきれないほどあります。ましてや、読書の習慣がないまま大人になった方にとっては苦行になってしまうのかもしれません。
最後に、今回例にあげてきた『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』の原本あとがきに書いてあったことを紹介させてください。
とにかく、わかりにくいところ、むずかしいところは飛ばしてでも読んでほしい。なるほど中世とは、十二世紀とはこんなおもしろい時代なのかと、わずかでも見えてくれば、popularizerたらんとしたハスキンズの意図はなかば達成されるのではないだろうか。
チャールズ・H・ハズキンズ『十二世紀のルネサンス:ヨーロッパの目覚め』別宮貞徳・朝倉文市訳、講談社学術文庫、2017年、原本あとがき
歴史学に限らず、あらゆる読書の真理ではないでしょうか。
全部理解できなくても、何かあなたが得るものがあればいい。得るものだと大げさに感じるのなら、ちょっとでも本読むのが楽しいと感じられたら、それでいいのです。
ちなみにこの文章、実は帯にも書いてありました。
出版社による、「難しいかもしれないけどぜひ読んでみて!」という熱意が伝わってきますね。本を手に取ってもらうために何を載せればいいかが考え抜かれていることがわかって、本当に感心してしまいます。
で、この文章を読んでもどうしても読書がつらい場合、あなたはシンプルに疲れてしまっている可能性があります。私も、仕事があまりに忙しかったころ、疲弊しきって一文字も読めませんでした。
読書は重労働です。
能動的に本を開き、大量の情報を読み進め、自分で何が重要なのかを考え、咀嚼しなければならないのですから、本当に大変です。だから、できなくても悲観することはありません。
疲れているときは、寝ましょう。ちょっと元気になってから、本を開いてみましょう。
読書は気楽に、自由に取り組めば良いのです。
関連書籍
タイトル | 十二世紀ルネサンス ヨーロッパの目覚め |
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作者 | チャールズ・H・ハズキンズ |
訳者 | 別宮貞徳・朝倉文市 |
出版社 | 講談社 |
出版年 | 2017年 |
ページ数 | 417 |
備考 | 本書は、1989年にみすず書房より刊行された『十二世紀ルネサンス』の文庫版です。なお、原書は1927年に刊行されました。 |