読書

自分の読書スタイルをレベルアップできる!『僕らが毎日やっている最強の読み方』感想

最強の読み方アイキャッチ

新聞、ネット、本、雑誌……

今、世の中には情報があふれかえって、何をどうやって読めばいいのかわからなくなりますよね。

この記事では、読むことのスペシャリストと言ってもいい二人による「最強の読み方」が詰め込まれた本をご紹介します。

本書のメインターゲットはビジネスパーソンで、著者の二人もジャーナリストと元外交官で作家ですが、趣味や単なる知的好奇心を満たすためにも生かせる内容がたくさんありましたよ!

こんな人にオススメ

情報が多すぎて何を読めばいいかわからない

山ほどインプットしている人が、普段何をどれだけ読んでるのか知りたい


私は本書をAudibleで聴いたので、記事もAudibleがベースになっています。

『僕らが毎日やっている最強の読み方』概要

著者はテレビやメディアで有名なあの二人

もはや説明不要かもしれませんが、ざっくりご紹介しておきます。

池上彰
ジャーナリスト。1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年から11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーに。今さら聞けないニュースの本質をズバリ解説。テレビでも大活躍中(Audible著者紹介ページより)

佐藤優
作家、元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。
2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。(Amazonの著者紹介ページより)

テレビやメディアで引っ張りだこの二名による対談形式の本です。

私はAudible版で聴きました。全文ほぼ会話文なので、自然に内容が頭に入ってきました。

知の巨人たる二人が、何をどんなふうに読んでいるかがわかる本

頻繁にテレビに出演し、雑誌にインタビュー記事が載り、ガンガン新刊が出まくる二人が普段、何をどうやって読んでいるかが具体的にわかる本です。

具体的な新聞の名前、雑誌や本のタイトルがぽんぽん飛び出してくるだけでなく、二人がそれらをどのような位置づけとして考えているかもわかって、すごく勉強になります。

対談中に出てきた新聞、雑誌、本、ウェブサイト等は、最後に一覧があるので便利です。ここはAudibleで聴くよりさすがに紙か電子で見た方がいいと思いますが。ウェブサイトのURLも読み上げてくれるので、なんだか申し訳ない気持ちになりました。あと、『ねこのきもち』がきっちり入ってて笑いました。

『僕らが毎日やっている最強の読み方』感想

ここからは、私なりに印象に残ったところをご紹介します。

自分なりの読書スタイルを見出すための本

二人の読んでいるものが何かわかって勉強になる本です。しかし、本書では、こうした具体例を読者がみんな実践すべきと主張されているのではありません。

本書冒頭、池上さんによる「はじめに」には、本書を通じて自分流のスタイルを見つけてほしいと示されています。

こうしたものすべてに目を通したほうがいいというわけではありません。

むしろ、大量の情報に振り回される危険もあります。この本に登場する具体的な情報は、あくまで、参考程度に考え、あなた独自の情報網を築くこと、そのほうが、大切なことだと思うのです。

要は、真似をするのではなく、自分流のスタイルを構築すること。この本が、そのお手伝いになれば幸いです。

池上彰、佐藤優『僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』「はじめに」より

全部真似する必要はない、自分流のスタイルを見つければいい、ということがわかってないと情報の洪水に溺れます。自分にはとても同じようにできないと落ち込んでしまうかもしれません。

ていうか、どんだけ新聞とって雑誌定期購読して本も買ってるの……池上さん新聞六紙+駅でも買うって……。

途中で佐藤さんによる、「酒断ちして読書時間確保してます」発言が飛び出してきたあたりで納得しました。

つづり
つづり
お酒の代わりに新聞と雑誌と本食べてるんだなるほど

私はお酒飲まないしタバコもギャンブルも何もしないので、できなくないのかもしれないんですけど、だからといって同じことはできないしする気もないです。

池上さんたちも、仕事だから情報収集してるのであって、普通のビジネスパーソンはここまでできなくていいと何度も言っています。

私たちは池上さんでも佐藤さんでもありません。だから、まったく同じことをする必要はないんです。

なので、この記事では、私なりの本書の活用事例を示します

そして、私は心が疲れ気味ということもあり、テレビやSNS、新聞の情報を遮断している状態です。新聞は時々読むくらいでしょうか。お二人にしてみたら言語道断でしょうけど……。

なので、この記事でも新聞やSNSの話はバッサリカットして、自分が興味あるところだけ膨らませています。

あなたもこうしたらいいと押し付ける意図は微塵もありません。こんな活用法もあるという参考程度になれば狙いどおりです。

それでもいいや、くらいの割り切りが必要だと思います。本当に情報量が多いので!

雑誌は視野を広げるのに便利

雑誌は視野を広げるのにとても便利です。最近は雑誌の読み放題サービスもあるので、どんどん活用しましょう!

本書でも触れられていましたが、インターネットとの大きな違いですね。インターネットはこちらの興味関心に合わせて動画や広告を出してくれます。それはそれですごいことなんですが、どんどん視野が狭くなる要因にもなってしまいます。

その点、雑誌の場合、目当ての記事を読みに行ったとしても、ついでに他のページもめくってみたら大抵思いがけない記事を見つけられます。

雑誌の話になったあたりで、普通に雑誌読みたくなってしまったので、Audible止めて楽天マガジンに行って、ナショジオとかダ・ヴィンチとかプレジデント見てたら日付変わってました。

プレジデントとナショジオは本書でも取り上げられたのでともかく、ダ・ヴィンチはこの本と全く関係ない。

なんとなくナショジオ開いたら、信じられないほどキレイな森の写真が載ってて感動して

CLAMP特集につられてダ・ヴィンチ読んでたら全然知らなかったおもしろそうな本が紹介されてて読みたくなって(翌日購入しました)

次にプレジデントを読み始め、本書の著者である佐藤さんの対談記事を見つけたところで我に返りました。

つづり
つづり
そうだった。Audible聴いてたんだった。

それにしてもたった三冊目で行きあたるとは……本当にこの人たちの一日は24時間なのでしょうか?

雑誌はいいですね。世界が本当に広がる。とろうと思ってなかった情報がとれるのは、インターネットにない強みだと改めて実感しました。

しかも雑誌なので、ある程度は自分の興味ある方向性が保たれるんですよね。その中で、ちょっと違う世界を見せてくれる。良いバランス感覚のメディアだなと、改めて気づかされました。

本の費用対効果はバツグン

本は情報の量がすごい。

本書で語られていたのは、講演に行ったとしても、本の何分の一しか情報は得られないこと。

だから買おうぜ! ということですが、場所とお金とは十分に相談しましょう……。

『読書の技法』の著者でもある佐藤さんによる読書術も、一部披露されていました。精読するか速読で済ませるかの仕分けがすごい。

  • 「はじめに」と「おわりに」は、とりあえず読む。
  • 真ん中が筆者も編集者も集中力が切れるので、本のレベルが表れる。ここを読んで精読するか決める。
  • 速読する本もとりあえず全てのページに目を通す。
  • 迷ったら買う、たくさん買わないといい本に出会えない。

お話を聞いていると、そもそもの基礎知識がものすごくあるから、たくさん本が読めることがよくわかりました。本のレベルをはかるなんて、普通の人にはなかなかできないのではないでしょうか。

本をたくさん読めるようになるには基本を学ぶのが大事と、本書で二人とも強く言ってますし。

難しい本にチャレンジする前に、わかりやすい解説書を読む手もあります。本書で紹介されていた『やさしいダンテ<神曲>』と『ゼロからわかるブラックホール』が読みたい。



良い解説書かどうか判断するには、また知識が必要になります。全然知らなかったら、良い本かどうかもわからないですからね。『ゼロからわかるブラックホール』の場合は入門書として有名なブルーバックスなので、予備知識無くてもハズレないかな?

必要な知識はどこから学ぶのか。次の項目、教科書がとても重要です。

基礎知識を得るなら教科書・参考書

最後に解説されてますが、教科書が一番大事です。

お二人が普段、大量の情報を仕分けして吸収することがなぜできているのかというと、基礎知識がしっかりしているからです。

本書では言及されていませんでしたが、教科書はさすがに、盛大な間違いがほぼないんですよね。だから、基礎知識ない人でも落とし穴にハマりにくい。本当に良質な情報源です。

歴史の場合は学説が若干古い可能性があるのを念頭に置く必要がある(教科書の内容変えるの大変だから)のですが、別に間違ってないし、なんなら内容が古いかもしれないのは他の本も同じですしね。

教科書と参考書、いいですよね。私も最近いくつか買いました。お気に入りは『原色小倉百人一首』です。

百人一首が全部解説されてるうえに、写真もキレイで大満足。


※本書で紹介された本ではないです。

本書において、歴史の復習には、日本史A、世界史Aがオススメされてました。近現代史にしぼった教科書ですね。

一方、日本史B、世界史B(古代~現代の通史)はページ数に対して情報量が多すぎて、事実の羅列になりがちとのこと。めちゃくちゃわかります。

基礎知識として必要ではあるんだけど、本当になんのバックグラウンドもない人にBの教科書キツイですよね……。地名と固有名詞と年号がひたすら並んでて意味がわからない。

ヨーロッパの古代中世を復習するなら、『もういちど読む山川世界史PLUS』でしょうか。地域がしぼられている分、説明は丁寧です。高校生向けの教科書に比べて説明が詳しい上に、入手しやすい参考文献が本文中に示されているのも親切。



※本書で紹介されていた本ではないです。

教科書や参考書ではないですが、スタディサプリがオススメされてて興味が湧いてきました。星の王子様の翻訳を比較しようという講義を発見して、とても気になっています。

まとめ とにかく読みたい! と思わせてくれる本

実際、これ聴いてる最中に雑誌読みに行ったり、紹介されてた本をチェックしたりしてました。本書で紹介されている以外にもいろいろ発見できてとても良かったです。人を行動させる本ってすごいですね。

記事前半でも触れましたが、本書はビジネスパーソン向け、もしくは池上さんや佐藤さんのようなジャーナリスト・元外交官向け、と固く考えず、お二人の主義主張も話半分に聞いて、何よりも、自分の興味関心にどう応用できるか? を深く考えると、すごく楽しいと思います。

私はめちゃくちゃ楽しいです。

書籍情報

タイトル 僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意
著者 池上彰、佐藤優
ナレーター 吉田健太郎
出版社 東洋経済新報社
出版年 2016年
Audible版制作 Audible Studios
Audible版配信日 2018年8月26日
時間 7時間38分